ケネディ暗殺と陰謀論の闇──“黒幕”は誰だったのか？

はじめに｜ケネディ暗殺事件の真相に迫る

ケネディ暗殺事件は、20世紀を象徴する未解決事件のひとつだ。1963年、ジョン・F・ケネディ大統領がダラスで銃撃され死亡。犯人とされたリー・ハーヴェイ・オズワルドは直後に殺され、真相は深い霧の中に包まれたままだ。

このケネディ暗殺事件をめぐっては、CIA、マフィア、軍産複合体など多くの陰謀論が語られてきた。事件の経過を追いながら、それぞれの説を紐解いていこう。

1963年11月22日、テキサス州ダラス。ケネディ大統領はオープンカーでのパレード中、3発の銃弾を受けて死亡する。州知事も負傷し、現場は一時騒然となった。

犯人として逮捕されたオズワルドは、「自分はハメられた」と主張。しかし、その2日後、警察署でジャック・ルビーに射殺される。この一連の流れが「事件は計画されていたのでは」と多くの人に思わせることになる。

オズワルドはソ連への亡命歴があり、キューバとの接触疑惑もあった。そんな男がなぜ自由に行動できていたのかは疑問だ。

また、暗殺現場の映像「ザプルーダー・フィルム」には弾道の不自然さが残されており、「複数の狙撃者がいた」とする証言も複数ある。単独犯説だけでは説明できない点は多い。

ケネディはCIAの秘密作戦に強い不信感を持っていた。ピッグス湾侵攻の失敗を機に、CIA幹部を更迭し、組織改革に着手していたのだ。

「CIAを粉々にして風に散らす」という言葉が象徴するように、ケネディ政権とCIAの間には深い溝があった。情報機関が大統領を排除したという説は、今なお語り継がれている。

ケネディ家は選挙戦でマフィアの支援を受けたとされる。しかし政権獲得後、弟ロバート・ケネディが司法長官としてマフィア壊滅に動き、両者の関係は決裂した。

ジャック・ルビーがマフィアと関係を持っていたことも、暗殺とマフィアの関与を示唆する材料とされている。

ケネディ大統領は、外交において軍事的手段よりも平和的解決を重視していた。特にベトナム戦争への介入に慎重で、1963年10月にはNSAM263を発表。これは1000人規模の軍撤退を含む、将来的な全面撤収の方針を示したものだった。

しかしその1か月後に暗殺され、後を継いだジョンソン大統領は政策を転換。NSAM273によって軍事的圧力が強化され、アメリカはベトナム戦争へと本格的に突入する。

この急転直下の方針変更により、軍需産業や兵器開発企業、情報機関などで構成される「軍産複合体」が巨額の利益を得る構図が一気に強化された。ケネディの平和路線は、これらの勢力にとって“排除すべき障害”だったのではないかという説は根強く存在している。

また、冷戦真っ只中という時代背景もあり、強硬派の議員や軍関係者の中には「戦争こそが国家の抑止力」と考える者もいた。彼らにとって、ケネディの存在は脅威であり、外交方針を転換させるための“犠牲”が選ばれたという見方もある。

ケネディ家は数々の不幸に見舞われてきた。

これらの事件は単なる偶然ではなく、「一族を標的にした計画的な排除」と見る向きもある。ケネディ暗殺事件を起点とした“家族の悲劇”が、より強い陰謀論へとつながっていく。

2025年、アメリカ政府はケネディ暗殺事件に関連する一部の機密文書を公開した。しかしその多くは限定的な内容で、重要な情報は未だ非公開とされている。

むしろ、完全に公開されていないこと自体が、「政府は何かを隠している」という疑念を強める要因となっている。陰謀論が消えない最大の理由は、こうした“意図的な曖昧さ”にあるのかもしれない。

ケネディ暗殺事件は、「政府は真実を話さない」という不信感を象徴する事件となった。

こうした出来事が重なることで、人々は「真相は別にあるのではないか」と考えるようになる。ケネディ暗殺事件は、単なる過去の悲劇ではなく、現代社会が抱える「権力と透明性」の問題を映し出す鏡でもあるのだ。

ケネディ暗殺事件には、CIA、マフィア、軍産複合体といった複数の利害関係者が関与していた可能性がある。単独犯では説明できない矛盾点の数々は、今も「真の黒幕」が存在するのではと多くの人々に信じられている。

真実が今後明かされることはないかもしれない。しかし、この事件が問い続けてきた「誰が国家を支配しているのか？」という問いは、今もなお私たちに突きつけられている。